ホームランド
ついに11月。東京公演目前!
プログラムの原稿を校了、印刷開始。教室生の皆さんそれぞれに最終ワンポイントアドバイスをして、ここから先の詰めはご自身に任せ、あとは本番で私が精一杯のサポートをするのみ。
みんな、緊張する・・・と言ってはいるものの、どっこい!本番に強い鉄のハートをお持ちです(笑)
和歌山公演は、実行委員さんを中心に和歌山教室生が一丸となって準備し、東京教室生を迎えるというスタンスでしたが、今回は東京教室生が和歌山教室生を迎える番。
とはいえ、東京教室生はささやかなお弾初会の経験しかなく、また人数も少ないので、和歌山公演のノーハウを引き継ぎ、和歌山の実行委員さんに協力してもらいながら進めています。
それでもなお、和歌山と東京では環境や条件が全く違いますし、また企画自体も違うので、ミーティングを重ねながら、アイデアを出し合って、目下制作中。和歌山公演での反省事項を引き継ぎ、見直し、改良し、さらにパワーアップした舞台を皆様にご披露したいと思っております!
どうして演奏家になりたいと思ったのか?
演奏して幸せな瞬間はどんな時か?
もちろん、ミス連発、頭の中のホワイトアウト、パワー切れなどなど、ひどい演奏をして立ち直れないほど落ち込みまくって、プロとしてこんなことでいいのかと自分を責めまくり、もう辞めた方がいい、演奏家に向いてない・・・と思ったことは何度もあるけれど、考えてみると、ものすごく難しい曲をノーミスで弾いた時が自分にとって最高の演奏であり、一番の幸せであったかというとそうではない。
お客様、共演者、スタッフ、そこにいる全ての人と心が通じ合って、分かち合えたときは本当に幸せいっぱい。心は目に見えるものではないけれど、その瞬間、まるで異空間への扉が開いたように、道が開通したように、すーっと人々がつながって、それは見えるが如く感じられるのです。
私の母はその瞬間のことをよく「真空になる」と言っていたけれど、まさに真空の静寂。その後にいただく拍手は最高に嬉しい!最高に幸せな瞬間!
一方で、新しい試みにチャレンジをして、理解されなくて、批判されて・・・そういう時はとても孤独で辛いけど、不思議にそういう時に一人は必ず応援してくれる人がいてくれる。そして、心のどこかでこっそりチャレンジしている自分が好きな自分がいる。
こちらは、言うなれば、陰の幸せ。
幸せにも陰と陽があるのかな?
みんながみんな、こういう精神構造をしているわけではないです。もちろん!笑
私の教室は、泥んこになって遊んだり、どしゃぶりの雨の中で嬉しくなったり、そんな子供のような無邪気さで音と戯れる場でありたい、そして、私は仲間と一緒に来る日も来る日も音楽という畑を耕す人でありたいと思っています。
腕試し?肝試し?大いにアリです!
ここから羽ばたくもよし、疲れたら帰ってくるもよし、教室生にとっても、お客様にとっても、そんな心の拠り所「ホームランド」となるように願い、私にとってはここが「ドリームランド」。
多分、一生建設中です(笑)。
11月12日、日本橋公会堂にてご来場を心からお待ちしております。
See you soon!
9月の演奏ご報告
これまでにあったコンサートのご案内もご報告もできないまま、その上、11月12日のお知らせも教室のSNSチームに任せたままで、失礼いたしました。
9月は二つのコンサートがありました。
ひとつめは、9月16日(金)にすみだトリフォニーホール・小ホールで行われた第8回両国アートフェスティバル エピソードゼロ『映画と音楽、そして対話』というタイトルのコンサート。
佐藤利明さんのナビゲートで、ピアニストの林正樹さん、ギタリストの山田岳さん、そして、私が、それぞれ、日本映画、ハリウッド映画、ヨーロッパ映画の中から映画音楽を選び、演奏するという企画。でも、実は、これはエピソード・ゼロ。来年のコンサートのプレイベントとなるもの。
なんと!来年の秋に向けて、私たちはそれぞれ架空の映画の音楽を委嘱されたのでした!
というと、ちょっとわかりにくいですね?
もし、自分が映画を作るならどういう映画を作り、そこにどういう音楽をつける?という、壮大かつチャレンジングな企画なのです。というか、お話をいただいた時には、私に委嘱してくださる大胆さ(無謀さ?)に心臓が破裂しそうでした。でも、まさにこれから創作活動に力を入れていこうと思っていた絶妙のタイミングで、私の心の中を見透かされたようでドキッとしました。
ピアノと箏のための作品という指定。ピアノは7歳から高校生まで習っていたので少しは弾くことができるし、箏のための作品もピアノと箏を行ったり来たりして作っているので、これはきっと神様が与えてくださったチャンスに違いない!と信じて(実際は門天ホールの黒崎さんが依頼してくれました。笑)、頑張ります。
話が来年に飛んでしまいましたが、今年はそのプレコンサートということで、私はヨーロッパ映画で登場する音楽を弾くことになりました。映画は詳しくなくて、観た映画はほとんど古い映画。両親から映画音楽のピアノの楽譜をプレゼントされたのがきっかけで、こんな素敵な音楽にどんな映画が?というのが映画を観る動機になりました。(普通は逆だと思うけれど・・)
選んだ映画は『道』『ひまわり』『男と女』『禁じられた遊び』『黒いオルフェ』、そして、一つだけ映画から音楽を知った『アメリ』。
映画『アメリ』は、とても小さな世界で起こるできごとが人生を変えてしまうこともあるということに気づかせてくれます。箏の世界も13本の絃の中で展開されるとても小さな世界。この世界の中で面白いことを企んでいる私は、アメリにすごく共感するのです。
似ているのは、もしかすると、箏の世界というより、私の思考?嗜好?
6曲のアレンジは、始めると楽しいけれど、箏では不可能なことだらけでなかなか進まず、結局、超絶技巧に見えない超超絶技巧という、いわゆる報われない(笑)アレンジになってしまいました。不可能なことが多いと、結局は削って削って美味しい部分だけが立ち昇ってくる・・・一人でそれを発見して悦ぶ様は、料理人に近いかも(笑)。
にしても、もう少しいい演奏をしたかったな。と、後悔しきり。
来年に向けて、頑張ります!
そしてふたつめは、9月19日は台風の真っ只中、六本木ヒルズで行われた『六本木アートナイト2022』の中のイベント『Amor 邦楽 in 六本木』にKEY TRAD.のメンバーとして出演しました。
KEY TRAD.は、津軽三味線のレジェンド・木乃下真市さん、尺八の若きスター・辻本好美さん、そして、頼りになるキュートなピアニスト・上野山英里さん、包容力たっぷりのスーパーパーカッショニスト・大家一将さん、そして、箏の私で組んだユニット。全員和歌山県出身。
KEY TRAD.のKEYは、和歌山の古名・紀伊、時代を握る鍵(Key)そして、音の高さという意味のKeyなどを意味しています。TRAD.は伝統楽器(traditional)に由来します。
和歌山の童謡「まりと殿様」のアレンジバージョンから始まり、さまざまな組み合わせのデュオ、伝統楽器それぞれの古典の演奏、オリジナル曲、最後はなんと!和歌山でもスタンディングオベイションになった木乃下さんのオリジナル曲『遭遇』を全員で!
台風の最中にもかかわらず、多くの方々に聴いていただくことができ、本当に嬉しかったです!
私が演奏したデュオ作品は、神田佳子さん作曲の『箏と打楽器のための練習曲No.1』。いつ弾いても楽しく、お客さんにも楽しんでいただける素晴らしい作品です。
こんなユニークなユニットはそうそうないよ!と自負しております。
ご来場いただきました皆様、悪天候の中、本当にありがとうございました!
そして、現在は西陽子箏曲教室第30回記念演奏会に向けて、準備をしつつ、和歌山・東京ともにレッスンに注力しております。
合奏の大曲が多く、しかも、和歌山と東京でメンバーが分かれていて、前日のリハーサルまではお互いに録音したものを聴き合って練習しておくというものもあり、私は完成型をイメージしつつレッスンしております。
約6時間半に及ぶコンサートですが、写真展やブラジル色満載のチャリティーショップもオープンし、まさにお祭り!
教室生の熱演の傍で私も出たり入ったり。演奏曲目の半分には助演しております。第2部では私のオリジナル作品、芦垣皋盟先生の本曲独奏、美しく楽しいブラジル音楽の演奏、フィナーレは大合奏・世界の民謡メドレーⅠで華やかに閉幕いたします。派手な衣装にもご注目ください!
10月1日より整理券の受付を開始しております。
詳細はまたここでご案内したいと思います。
ぜひぜひ遊びにいらしてください。箏の魅力たっぷりお届けします!
See you soon!
西陽子箏曲教室第30回記念演奏会ご報告・最終回
ご報告最終回が、9月に突入してしまいました。しかも、もはや演奏会から1ヶ月が経過してしまいました。
なんと!自分の感覚が全然追いついていません。
とはいえ、東京公演の準備も少しずつ始まっています。
いよいよ第2部ガラコンサート。
プレトークでは、藤原道山先生、芦垣皋盟先生と私で、出会った頃のお話や教室生との思い出などなど。笑えるエピソードあり、深いお話あり。
最後は「わたしにとって尺八は?」という質問にお応えいただきました。
プロの演奏家でもアマチュアでも、根っこは同じ。
音楽って人生や生活を一変させるすごいパワーを持っているのですよね。
続いては、お二人による「現代鈴慕」。
この貴重な演奏を目当てにご来場くださったお客さまも多く、私はリハーサルで拝聴しましたが、いつまでもずっと聴いていたい。と心底思いました。
尺八の音色がこんなに素晴らしいとは知らなかった。とか、尺八のイメージが変わりました。など、反響がすごかったです。
そして、私の新作「夢」の初演。
3楽章に分かれており、1、まどろみ、2、疾風、3、白い蝶というタイトルをつけています。第1稿ができたのが本番の3週間前。そこから大幅に書き直しようやく仕上がったのが2週間前。最後の2小節の音は3日前に変更。藤原先生にはたくさんのアドバイスとご協力をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
リズムも旋律も安定しそうになると崩したくなるというのが私の傾向。特に2楽章は変拍子と素早い転調の連続。もちろん意味もなく難しい曲を書くのは本末転倒だけれど、自分の手の内に溺れたくないと絶えず自制しています。それは私自身が溺れやすいことを自覚しているからなのですが…。手紙と同じ、夜中に自分の中で盛り上がって興奮してどんどん書き進めて、次の日冷静になってみると恥ずかしくなるパターンです。
作品のここは作曲家〇〇にそっくり。とか、構成力ないなあ。とか、拙いところは山ほどあります。
箏の新しい世界を作ってみたい。箏の持つ力や美しさを表現したいという思いはいつも溢れているけれど、いざ作品にまとめていくと、足りない、足りない・・・と力不足を痛感するばかり。
でも、私は自分が納得できるものを追いかけていきたいと思っています。
たとえ、みっともなくても、下手でも・・。
初演は全く納得のできるものにはならず…
『夢』は東京公演で再演いたします。今度こそはしっかり練習し本番に臨みます!
そして、最後に今回の衣装についてのこぼれ話を。
芦垣先生がプレトークでお話してくださいましたが、衣装にこだわるのも我が教室の特徴。
衣装も自己表現であり、自分の気持ちを上げてくれるものですから大事!
古典「石橋」。衣装は全員色無地の着物。
私は、この日新しい着物を着ました。呉服の担当者さんと一緒に地模様をあれこれ見ながら白生地を選び、何百色もある色見本の中から色を選び、デザイナーさんと一緒に考え作ってもらったオリジナルの紋を入れてもらいました。選んでいく過程で、色の染め方、生地の織り方などお話を伺い、職人さんたちの技の凄さに驚くばかりでした。
そして、来る日も来る日もめいっぱいだった私にとって、しつけ糸をはずして下さっていた担当者さんの優しい心配りはもう涙ものでした。ありがとうございました。
そして、「世界の民謡メドレーⅠ」の華やかな舞台で閉幕。
8時間以上に及んだ「祝祭」はおしまい。
ご来場くださった皆さま、サポートして下さったスタッフの皆さま、応援して下さった皆さま、本当に本当にありがとうございました。
さあ!次は東京公演。
11月12日(土)日本橋公会堂にて皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げます。
See you soon!
西陽子箏曲教室第30回記念演奏会ご報告④
いよいよ、ここから教室生によるコンサートです。
少しずつ新しいことを取り入れながら変化していくのが我が教室の流儀。今回は30周年ということもあって、かなりリニューアル。新しいことにチャレンジしました。
その中の一つは大合奏。
オープニングの『六段』そして、第一部の最初の曲『黒田節による幻想曲』、第一部の終曲『石橋』、フィナーレの『世界の民謡メドレー』の4曲はどれも大合奏。
『黒田節による幻想曲』は全員。『石橋』は古典を習っている人全員。『六段』『世界の民謡メドレー』はほぼ全員。
今回は新しくて大きなホール。これはチャンジするしかないでしょ!というわけで4月から和歌山と東京で合奏練習を重ねてきました。前日のリハーサルでは和歌山教室と東京教室が合体!
「わあ、久しぶり。」「元気だった?」という会話もちらほら、賑やかに合奏を楽しみました。
衣装を楽しむのも我が教室のチャームポイント。
『六段』と『黒田節による幻想曲』は訪問着など柄物の着物。25面の箏と着物が織りなす舞台はなんとも華やか!絢爛豪華です。
『石橋』は色無地。金屏風に緋毛氈。箏は前、三味線は後ろに組んだ平台の上で演奏。私は、長唄の舞台を見るたび、ああ、なんて素敵!なんてカッコイイ!と憧れており、いつか教室でこの舞台セットを実現したいと思い続けてきました。今回実現!!!
『世界の民謡メドレー』は、お祭りのフィナーレですからはじけましょう!というわけで、民族衣装もどき?の衣装で演奏。みんな、マスカレード(仮装パーティー)ならぬ普段ではあり得ない衣装で大変身!演奏前には幕前で俄かファッションショーをしました。
どんどんはじけ方が大胆になって、派手になって、いつの間にか私たちの教室の名物企画になりました。
お客様にも大好評で、一緒に参加したいという方続出!^ ^
メンバーそれぞれが主役のプログラムは、70代のトリオ「スーパーマダム」の演奏に始まり、ついこの間まで初心者だったデュオ「ことひよ」さんから演奏家として活躍している人たちまで入り乱れ、曲目は宮城道雄作品から沢井忠夫作品、牧野由多可作品、私のオリジナル曲、箏曲部を舞台にした漫画に出てくる人気の作品、現代音楽と言われる難解な作品までバラエティーに富んだ曲目が並びました。トリは、30回連続出演、実行委員長でもあり、我が教室のボスでもある生徒さん(ボスというイメージとは程遠く、穏やかで控えめで優しく、頭がよくて誰もが頼りにする存在)が藤原道山先生の尺八と私の箏との三曲合奏『吼噦(こんかい)』(古典)で締めてくれました。
メインの曲はみんなそれぞれ1曲だけれど、上達して余裕ができてくると、助演として他の曲にも参加します。箏のいろんなパートや三味線、十七絃を担当。多い人では今回自分の持ち曲も含め10曲以上演奏した人もいます。
万が一私が倒れて弾けなくなっても、どこかのパートの誰かに何かあっても、すぐその穴を埋められるようにしておくだけでなく、どのパートにあってもいかに全体の音楽を魅力的にしていくかを考えながら演奏し、全体を俯瞰して演奏できるようにしてほしいと思っています。
定番の曲は全てのパートをいつでも弾けるようにしておく。
初見演奏の力をつけておく。
楽譜から多くの情報を読みとり、表現の引き出しをたくさん持つ。
これらは現代曲の演奏家としては必須ですね。
「成長」にはいろんな時期があって、次から次へミッションが与えられ量をこなしていく時期もあれば、曲は少ないけれどじっくり取り組んで磨きをかけていく時期もあります。「成長」もタイミングがあり、方向性がありますから、それを見計らうのが先生の役割かなと思っています。
私に頼りきった演奏から、やがて自立し、他の人の音が聴けるようになり、その上で自分の表現ができるように・・・その段階を一つずつ踏んでいくためにもおさらい会は大きなステップとなります。
今回は大きな舞台でしたから、すごくいい経験になったと思います。
とはいえ、舞台裏はみんな緊張している余裕もないほど走り回っていますよ(笑)。
それぞれに係があり、着替えがあり、大忙し!
演奏だけでなく、脳も最高に活性化したと思います。
それにしても、みんな本番に強い!
つづく
See you soon!
西陽子箏曲教室第30回記念演奏会ご報告③
続いては、音と映像で綴る「わたしたちの30年のあゆみ」。
編集委員は好奇心のかたまりで特に植物をはじめとした自然への興味が尽きない生徒さんと万葉集をはじめとした日本の古典文学が大好きでいつもユニークな視点でコメントしてくださる生徒さんが担当してくれました。お二人を中心にSNSチームがサポート。コロナ禍にあっても休むことなく継続したおさらい会を中心に、30年分のみんなの写真、私の海外での演奏活動や生徒さんの海外での活動の写真を、世界や日本の社会の動きと共に編集してくれました。音楽は、映像に沿って「だんご三兄弟」をはじめとする当時流行ったPOPSを数曲生演奏でお届けしました。
「こども音楽隊」として参加してくれた生徒さんのお子さんたちも、今はもう高校生や大学生になり、客観的にアドバイスしてくれました。頼もしく心強い!
ロビーではミニ写真展も開催しました。
30年の間に、携帯電話、インターネット、SNS、・・・私たちの生活は大きく変化しました。
奇しくも30年前にソ連が崩壊し、ウクライナが独立しました。そして、今戦争状態に・・。
アメリカで9・11の同時多発テロ事件があり、ほとんど情報のないアフリカや中東、アジアの各地でも政変や紛争などが絶えることがありません。
阪神淡路大震災と東日本大震災という二つの大きな災害に見舞われた日本。最近では、自然環境の変化を実感します。
その一方で、人々は毎日新たな命の誕生を祝い、家族や友人との食事や会話に幸せを感じ、新たな発見や発明に心弾ませ、美しいものに心奪われ、喜びを感じます。
30年間で価値観も大きく変化しました。
私自身、恩師・沢井忠夫先生、そして、いつも応援してくれた両親と叔母、大好きだった親友がこの世を去り、東京と和歌山の往復生活は変わらないものの住まいは江古田から北鎌倉、そして今の日本橋へと移り、音楽活動も変化し続けました。
多くの出会いと別れがありました。
それは生徒さんたち一人一人にも・・・。
当日は、生演奏をしたので映像はゆっくり見ることは出来ませんでしたが、事前に編集委員さんが送ってくれた写真を観て、その時々のできごとを思い出し、PCの前でひとり胸がいっぱいになりました。
どこで「老化」に転じたかはわからないけれど(笑)、今はしわやたるみ、年齢相応に老けました。まあ、昔の写真も自慢できるようなものは全くありませんが・・・笑。
人生は『選択』の連続。
選択してきた結果が今で、今の選択がこれからの私の人生を作っていく。
人間の能力は限られているから、やっぱり何かを選び、何かを諦めるしかない。
選んだこと、選ばざるを得なかったこと、選べなかったこと、選ばなかったこと、選ばれたこと、選ばれなかったこと・・・。
いろいろ思い返します。
でも、箏があって、私のそばにはいつも教室のみんながいてくれて、一緒に笑い、乗り越えてきたことがいっぱい。
今度は何をする?どんな楽しいことをする?お客様にどうやって楽しんでもらう?
そんなことをずっと考え続けて30年が経ちました。
その精神はこれからも変わりません。
『西陽子箏曲教室』・・・今ではあまり使われなくなった『教室』という名前にこだわっているのは、みんなに同じ教室で学び遊ぶクラスメイトでいてほしいから。
おさらい会はいつだって『文化祭』!
つづく
See you soon!
西陽子箏曲教室第30回記念演奏会ご報告②
開幕曲は、八橋検校作曲「六段」です。
箏曲の原点がここにあり、基本の全てが詰まっています。
それよりも何よりも、400年前から脈々と口伝を主体に伝わってきた作品を今私たちがこうして弾けることがすごい!と思いませんか?
何度弾いても新鮮。何度弾いても発見がある。決まった型がありながら、自由度が高い。
本当にすごい作品なのです!
私は、『筝は伝統楽器なのだから古典をやらなければならない。』という考えは好きではありません。
音楽家など親戚縁者に誰もいないごく普通の家庭で育ち、ピアノが大好きで、「ショパンやドビュッシー、ベートーベン最高!「春の海」は古典でしょ?」という程度の知識しかなかった私が、大学に入学してから始まった古典漬けの日々に違和感と重圧とストレスをどれほど感じていたことか・・・。
まるでブラックホールに突き落とされたような大学生活の中で、藤井久仁江先生や上木康江先生、芦垣美穂先生の『目から鱗』レッスンが私に古典の面白さを教えてくださいました。
『古典は面白いし楽しい!だからトライしてみようよ!
江戸時代の音楽を今体験できるなんてすごくない?これっていわゆるタイムトラベルでしょ?』
というのが、私の考え。
もちろん楽しくなるまですごく時間はかかります。
西洋化された社会に生きる現代人からすれば何もかもがまさに謎!
拍子の区切りが謎、規則性無し、旋律も謎・・・ああ、謎だらけ。ちんぷんかんぷん????
でもね、ゆっくりじっくり時間をかけてトライしてみると、癖になるほど楽しいですよ。
『六段』に基礎は全部詰まっているけれど、私は、ある程度弾けるようになってから、または、本人がちょっと弾いてみようかなという気持ちになってから、おすすめしています。積み上げていく順序を決めないで、長く楽しく続けていけることが最優先!
まずは謎を解いて、面白さを発見していく!
古典の演奏家は長い曲を暗譜して、何度も舞台で弾いて、演奏に深みや味わいを加えていきます。私は『修行』より『楽しみ』優先、『楽しさ』を伝えたいと思っています。
ジャンルが何であれとことん好きになれば、修行は苦行じゃなくなるし、夢中になって難しいことに自然と挑戦したくなります。
ともかくも、せっかく箏に出逢ったなら、『六段』を弾かないのはもったいない!
そういうわけで(どういうわけ?笑)、『六段』の演奏者は出演者全員(二人はやむを得ない事情で欠席)。キャリアもバラバラ、途中振り落とされそうになる人もいるけれど、今回は和歌山教室・東京教室でそれぞれ合同レッスンを重ね、みんななんとか弾けるようになりました。一人の練習もいいけれど、みんなで練習するとなんとなくできてしまうこと、ありますよね?
はじめは「なんとなく」でもいい。Let’s try !
これが私の教室のモットーです。
本番は今までで一番いい演奏になりました。(みんな、頑張りました!(^^)v)
全員による演奏『六段』にて華やかに開幕!
さて、どんな演奏会になりますやら。
つづく
See you soon!