梅雨前線北上中。皆様お変わりなくお過ごしですか。

この季節の楽しみはなんといっても紫陽花です。和歌山の自宅の庭にも2種類の可愛い紫陽花があります。以前住んでいた北鎌倉はまさに紫陽花の町でした。そして、東京の街にも意外とあちこちにたくさん咲いています。しかも種類も豊富。

 

気がつけば明日から6月。今は、秋の一連のコンサート(まもなくご案内できると思います!)に向けて、作曲、練習、そして、本を読んで調べ物をする日々を送っています。

 

最近の私の安らぎの場所は、近くの横断歩道脇にある大きな木の下!そこは、違う種類の2本の木が寄り添って合体した一風変わった木陰。道路の真ん中だというのに、最近成長著しく、葉がこんもりと繁って、忙しく通り過ぎる人たちをじっと横目で見ているような風情。ある日、思いきってその木の下にもぐってみました。上を見上げると、なんと薄黄色のグレープフルーツに似た果実がいっぱい実っているではありませんか!重なった葉の隙間から微かに光が入って、そこには異空間が!日差しの強い日も、大雨の日も、強風の日もここに入れば安心。守ってもらっている、包まれている感覚がなんとも言えない幸せと安らぎを与えてくれます。

 

貴重な晴天の日は、夕方6時くらいからベランダにテーブルと椅子を出して、簡単な夕食を取りながら、陽が沈んで街にパラパラとあかりが灯り、やがて夜になっていく空を眺めて過ごすのが至福の時です。

 

一方でピラティスは楽しく続けています。昨年の1月に始めたので、もう1年半になりますが、体型や姿勢が少し整いました。ストイックに毎日鍛えるわけでもなく、食生活も変わらないので、当然痩せて若い頃のようなほっそりとした薄くてしなやかな身体には戻るわけでもなく、筋肉がモリモリつくわけでもないのですが、自分の身体の使い方の癖を知って意識しながら生活し歩くだけで体型も姿勢もすっきりしました。しかも、動くことが楽になり、気持ちも軽やかになりました。良い姿勢というのは、ただ胸を張るだけではだめで、下半身を安定させることから始まるのだなあ。と実感します。土台が大事!

と、いい気分になった直後、「さて、そろそろ夏のノースリーブでも着てみようか。」と思い立ち、鏡の前に立ってみたところ、自分の二の腕のだらしなさに驚き!上半身に意識が向いていなかった!(汗)

以前、頑張ってダンベルなどして鍛えたところ、筋肉が硬くなって演奏しづらくなった経験があったので放置していたら、こんなことに…。最近の腕の疲れやすさはこれかもしれない。と反省したのでした。

両親が亡くなる直前、すごく痩せてしまった様子を目の当たりにしたので、それ以来、いつかは私も枯れて痩せてしまう時が来るのだから、無理して痩せるより今の身体を受け入れて愛してこのまま整えよう。と思うようになりました。とはいえ、この腕は酷すぎます(笑)。

身体の感覚と脳がつながっていくのを実感するのは楽しく、生きていることの奇跡を実感し、身体への感謝の気持ちと愛おしさは増すばかりです。

 

そういえば、先日NHK・Eテレのイタリア語講座で、バイオリニストの古澤巌さんがアマルフィ海岸に行き、崖のはるか頂に建つ小さなお家に一人で暮らすおばあちゃん(90歳くらい?)を訪ねていました。若い頃の写真はもう女優さんのように美しい!番組の最後、ワインをご馳走になったお礼に古澤さんが映画「ニューシネマパラダイス」のテーマ曲を生演奏をされていました。

崖下に見える南イタリアの青い青い海を背景に、白い石造の鄙びたお家のベランダに座る老婦人。深い皺がいくつもいくつも刻まれたお顔がアップで映し出され、音楽が流れる中でおばあちゃんの目から涙が皺の溝をゆっくりと伝っていく。その瞳は遥か遠くに向かっていました。

もちろん何の演出もありません。ただもうそれだけで、彼女の存在があまりに美しく切なく、ニューシネマパラダイスとは別の新しい映画のようでした。私は胸がいっぱいになって、涙があふれました。

 

全ての人の人生がドラマ。

私たちは皆、ドラマの中を生きている。自分の歴史を生きている。

 

See you soon!