ブラジルから帰国し、すぐに和歌山県の熊野・中辺路に新しく開校したうつほの杜学園で子供たちやご父兄・地元の方々に向けてワークショップをしました。

これをきっかけに、我が教室初の遠足を敢行!11月のレッスンでお声がけをしました。

16名の生徒さんが参加。車に分乗して、熊野のいい空気を吸って、川沿いのレストランでせせらぎの音を聞きながら一緒にお食事しました。

今回は突然の思いつきだったので、遊びの計画があまり立てられなかったのですが、すごく楽しかったので、これからはこういう機会も作っていきたいなあと思いました。

 

帰国直後は、ワークショップもあって気が張っていたせいか元気だったのですが、その後、時差ボケと不調が重なり、さらに数ヶ月前からかゆみや赤みが気になっていた瞼が急に真っ赤に腫れ上がり、恐ろしい形相に!眼科と皮膚科に行ったところ、調子が悪いのを繰り返していたために皮膚が硬くなり分厚くなってしまっているとのこと。完治までは時間がかかると言われ、ショック!今は、ステロイドの軟膏のすごい効力によりほぼ回復。

みなさん、調子が悪い時は早めに受診しましょう!

 

ブラジル渡航直前、長年愛用していたスニーカーが限界を迎え処分。スーツケースと腕時計が壊れて修理。譜面台のネジが効かなくなり、ついに処分。お気に入りのイヤリングも劣化し、使用不可能に。帰国後には、瞼の不調もあって、今まで使ってきたかなりの化粧品を処分しました。

 

変わり目なのかな・・涙。

 

若い頃は、自分が時代のど真ん中を風を切って走っている気がしていました。(思い上がりも甚だしい?笑)

それがいつの間にか、時代と自分のズレを感じるようになりました。

 

時代の革命家であり異端者でもあった沢井忠夫先生の音楽は正統派の王道となり、野坂恵子先生が創られ演奏された二十絃には賛否両論がありましたが、今や多くの箏の演奏家が、二十絃、二十五絃を演奏するようになりました。さらに、洋楽器や民族楽器との共演や即興演奏はもちろん、現代音楽で実験的に行われていたエレクトロニクスとの共演やそれによる音の変調や拡張を邦楽器の演奏家が自ら行うことも多くなりました。

もちろんその技術はどんどん複雑化し、多様化し、進歩しています。

私自身のことで言えば、リサイタルで私が30年前に委嘱初演した作品は、当時注目されることもなかったけれど、今、演奏家をめざす人たちにとって定番の曲になりました。

 

時代の価値観って本当に変わるものなんだ。というか、自分が生きている間に時代の変化というものを実感するとは想像もしていませんでした。

 

変化する時代の中で、音楽にもトレンドがあり、音色にもトレンドはあると思う。

声質で言うと、アナウンサーの声質は昭和と現在では全然違う。箏の音色にしても、レコードで聴く宮城道雄先生の音色は、糸の材質や張力、録音の技術を差し引いても、現在の多くの人が奏でる箏の音色とは明らかに違う。

価値観や理想、嗜好は少しずつ変化していて、「正しいいい音色」というものは決められません。

 

私はピアノをずっと弾いてきたので、二十絃や二十五絃で音楽の可能性が広がることもよくわかるし、多くの絃が共鳴することで華やかな音響になることもわかる。ただ、実際経験もしたけれど、私にとっては、その音色や、演奏するときの楽器に対する自分の感触という身体的感覚が、過剰でもあり、物足りなくもありました。

エレクトロニクスは面白いと思うけれど、年齢以前に、苦手で使いこなせない(笑)。

不器用な私は、拡張するよりもむしろ限定し絞り込んでいくことで、密度を高め深めていく方が性に合っている。

 

私の立ち位置は、トレンドの遥か後方、もしくは、外側。

自分が得た経験のまとめができないまま、逡巡していたら、この場所から動けなくなっていました。

まだ何もできていない。一生できないかもしれない。

それでも、だから、私はここにいる。

箏が、音楽が、

自分にとって正直で、惰性にならないために。

ずっと続けていくために。

 

素晴らしい木も、名人と言われる職人さんも、少なくなっていく時代の中で、やはり箏の生の音を聴いてもらいたいという思いが強くなりました。

気候変動により地球環境が危ぶまれ、職人さんの後継者が激減している今、もしかすると、この自然の美しい音を生で聴けるのはもう最後かもしれません。

だから、今、聴いてほしい・・。

 

時代のしんがりも、はなれも、また良きかな。

走らず、佇む。

静かに、ひそやかに、だけど、濃密に、深遠に、音色にとどまりたい。

木の声に耳を澄ませたい。

 

1月11日、東京の日本橋高島屋新館にある日本橋ガレリアコミュニティースペースで小さな音楽会と体験会を始めます。

https://www.nihombashi-loop.com/loop/asp-webapp/web/WTopPage.do

演奏する曲目は、八橋検校作曲(古典)「六段」、宮城道雄作曲「手事」、沢井忠夫作曲「讃歌」、私自身のアレンジまたはオリジナル作品の中から1曲の予定。

定員は16名です(広報が今からですので、来て下さる方がいるかどうか・・・。でも、たとえおひとりでも、心を込めて演奏し、手ほどきさせていただきますので、ぜひゆるりと気楽にお運びください。)

初心者の方には、ほんの少し手ほどきを。

すでに習っている方には、演奏で感じるお悩みにワンポイントアドバイスができればと思っています。

また、参加してくださる方々同志が交流していただけるよう体験も工夫したいと思っています。

日本橋LOOPさんは、新しいコミュニティーを作るきっかけを提供していきたいということで、私も箏が人を繋いでいけたら素敵だなあ。と思っております。

気持ちよく過ごせる場を丁寧に作っていきたいですし、参加してくださる方と直接お話しできるのも楽しみです。

 

今年はついに念願の書道を始めました。

思いがけず、ブラジルで演奏することもできました。

教室のメンバーも増え、賑やかになりました。

 

昨年後半、中東公演&CD発売記念公演を終え、燃え尽き症候群で始まった2025年でしたが、嵐の後の静けさのような時間の中で、自分の心をまっすぐに見つめることができたように思います。

自分の心なのに、長い月日の間に訳のわからないフィルターが分厚く重なっていて(おお!私の今の瞼のようではないか!笑)、深層にある澄んだ原泉までの道のりは遠く、目を背けたいことも、言い訳したいことも山ほどあって、なかなかしんどい・・・。

 

ずっと、頑張ればなんだってできるはず。と信じて突進してきました(笑)。

でも、限界はあり、どうしようもないこともある・・・。

今頃気づくなんて、鈍すぎるなあ(笑)。

 

音楽家として、人間として、自分自身を責め、絶望する時もある。

歩んできた時間を後悔し、否定することもある。

それでも、今、この場で何か光を見つけたいし、笑いたい。

 

光の正体は、希望?喜び?

 

自分という人間は先にも後にも、人類史上たったひとり。

たったひとりだからわかってもらえないけれど、たったひとりだからできることもある。

と、思う。

 

今日はクリスマスイブ。レッスンは今日もあり、大晦日まで続きます。

1年間、こちらを訪ねてくださり、気まぐれな私のたわいもないおしゃべりDiaryにお付き合いくださり、ありがとうございました。

 

来年からは、『Small Smart Slow』に。

人生のフェーズもステージも、そして、私自身の心も体も、変わっていく。

手放すものも、深まるものも。

 

最後に、今年一番のお気に入りの写真を見てやってください。

ゴッホの絵にたくさん登場する糸杉ってこんなに大きいんですよー!という写真。

素敵なクリスマス&よいお年をお迎えください。

2026年もみなさんにとって健やかで幸多き年になりますように。

来年もよろしくお願いいたします。

 

See you soon!