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 7月9日、神奈川県立近代美術館・葉山館にて吉村弘作品によるミニコンサートを行った。お天気はくもり。大きなガラス窓の向こうには海が見えて、その前で演奏をした。晴れていれば、夕焼けをバックに演奏ということになる予定だったけれど、残念ながら徐々に雨が降り始め、終わった頃には大雨になってしまった。そんな中、たくさんのお客様が集まってくださり、あたたかい雰囲気の中で演奏することができ、ほんとに幸せな時間だった。みなさま、ありがとうございました!
KOTO VORTEXとしては、久々のコンサートだったのでなんだかいろんなことを思い出したりした。
最初のライブは、どしゃぶりの雨。車にお筝を積んで、みんなぎゅうぎゅう詰めになりながら車に乗り、ライブハウスに着いたらお客さんは3人。カップルとあとひとりは近所の人だったかな?これからというときになって、カップルはそそくさと帰った。わぁ!お客さんひとりぽつり。。。これじゃあ、どっちがお客さんかわからないよー。すごく居心地悪そうな感じ(あたりまえだ!)たぶんその人も途中で帰ったんじゃなかったかなあ。。。まあ、この上もなくミジメで、デュオのときは、残りのふたりがお客さんになって、ヤンヤヤンヤの大喝采!ヒューヒュー、ピーピー!異様な盛り上がりだった。(笑)
KOTO VORTEXのメンバーは、4人とも血液型も星座(地・火・風・水)も干支もバラバラで、共通点は日本の港町に生まれたことという集まりだった。性格も全然違ったから、それぞれ役割分担を決めていた。広報、会計、段取り、文章作成。
音楽に関しても、もう言いたい放題だった。だから、けんかをして絶交を誓ったこともあったし、泣いた。でも、初演やレコーディングの前は、合宿して一日中お筝を弾いた。10時間以上は少なくとも弾いていたかな。朝方まで練習したから、途中で居眠りは出るし、手が痛くなってみんなで合宿所にあった温泉のお湯に手をつけてほぐし、また練習再開ということもあった。顔はむくむし、ひどい状態で、その合宿所でわたしたちを見た人は、その後のコンサートでわたしたちのことが誰かわからなかったくらいだ。
衣裳は、みんなで安いものを探して歩いた。わたしなんてみんなの意見に乗せられて買ったはいいけど全然似合わなくて変で一回着たきり。写真に残ってしまって、人生の中で後悔することのひとつにエントリーしている。それ以来衣裳を買うのは絶対ひとり!メンバーの言うことは聞かないと決めている。みんなも納得済み。(ってことはみんなもどこかで変だ、わるいことしたなあ。と思っているはず!ひどいなあ、もう~)
お金はなかったけど、体力はありあまるほどあったから無理もした。
一枚めのCDのデモンストレーションで、銀座の山野楽器の前で8月の炎天下弾いたこともあった。歩行者天国だったけど、あまりの暑さにひともまばらで、わたしたちも干上がる寸前だった。セクハラまがいのことがあって、撃退した武勇伝もある。
それから、ソロでの活動が中心になり、また個人の主張が強くなり、それぞれの道に分かれて行った。ひとりずつそれぞれに。
そしてまた集まるきっかけを作ってくれたのは、まったく予想すらしなかったクロノスカルテットからのオファーだった。吉村弘さんが亡くなられた少し後のこと。
結成した頃と変わっていないところは、なんでも言い合うこと。でも、ちがうのは、あの頃自分の欠点や弱点を認めることができなかったけれど今は蓋をしないでだめなことやできないことに素直になれること。
年を取ったのに焦らないでのんびりとしているのはいいのかわるいのかよくわからない。。。
でも、あの頃何かに追われていたような切迫感はない。
同じKOTO VORTEXだけれど、たぶん、前とはまた違った道に違った方法で進んでいくのかもしれないと今は思っている。
(写真は本番直前の様子。順に丸田美紀、竹澤悦子、そして今回サポートメンバーとして加わってくれたおふたり、水谷隆子、スコット・ジョーダン。)
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