050828-1.jpg
 8月27日、麻生市民館ホールにてゆりがおか児童合唱団の35周年記念演奏会があった。指揮者であり指導者である山田榮子先生は35年間この合唱団を率いて来られた。この日はバッハから林光まで。最後は高橋悠治さんの新作初演。(ピアノは高橋悠治さんご自身)
私は、柴田南雄作曲「秋来ぬと」で合唱団のみなさんと共演させていただいた。
この曲の歌詞は、「梁塵秘抄」から抜粋されたもので、恋の歌。
秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる
「そよ」という囃し詞からこの歌に始まり、7つの曲から成っている。
恋のはじまりはなんとなく落ち着かない。どんな音にも恋するひとの声や気配を感じて心が揺れ動いてしまう。
恋するひとの残していったものは、恋するひとそのもの。だから、いとおしく、それを見ているだけで想いは募り、心は熱くなり、時間を忘れてしまう。
こどものようにあどけなく、かわいらしく、いたずらっぽく。。。(恋をすると普段はなんでもなかったちいさな生き物までもがともだちに思えて、ちょっとからかってみたりして。。)
去っていった恋人への嫉妬、憎しみ。(これはもうどうしようもありませんねえ。。。)
そして最後に年をとって、身の上を思い巡らせる。
というのが、ちょっとまちがってるかもしれないけれど、私なりの解釈。
練習の後、「涙が出ました!」と言ってくださった方もいて、とてもうれしかった。
嫉妬と憎しみの曲は、特殊奏法がほとんどのあやしい感じの曲調なんだけれど、そこで拍手が沸きあがったときには正直言ってフクザツな気分だった(苦笑)。
こんな感じで、秋が近づいてきた鎌倉の風に吹かれながら、気分はどっぷり平安時代の白拍子になりきって毎日筝を弾いていた(笑)。鎌倉というこの場にある気が、時代の隔たりを一瞬埋めてしまうようでもあり、妙に自然と梁塵秘抄の世界へと誘われる。。。
恋は、やっぱりいいものです。。。
さて、「秋来ぬと」に参加された方々は、団員とOG有志で作られたコールリーリエのみなさん。
私が参加させていただいたのは、練習2回とリハーサル、ゲネプロ、本番。人見知りな私も少しずつうちとけて、楽器を囲んで話をしたり、あとかたずけを手伝ってもらったり。OGの方々の中には、前日や当日仕事を終えて地方から駆けつける人たちもいて、全員揃ったのは確か当日のみ?
本番前は、やっぱりみんな緊張。円陣組んで気持ちをひとつにして、さあ!出番!声もすごくよく響いていたし、絡むように筝ともうまく息があって、楽しめて、うまくいきました!やったね!
それから慌てて客席に行って新作初演を聴いた。
高橋悠治作曲 藤井貞和の詩による「ふしぎの国から」。
歌うのは、小学2年生から高校生までのこどもたち。
とてもむずかしい歌に石井かほるさんの振付がついたシアターピース。悠治さんのピアノを囲むようにこどもたちは歌い、動く。
感動して涙が出た。
こどもたちが、かみさまにちかいなんだかとても尊い存在に見えた。
舞台に浮かぶ風船が浮遊している魂のようだった。
舞台裏では、OGのひとたち、こどもたちのおかあさんたちが走りまわっていた。みんなスタッフ、手作りの演奏会。
音楽に純粋に魅かれ、集まっているひとたちの中で演奏させてもらえたことが幸せだった。
ほんとうにありがとうございました。
打ち上げはこどもたちが中心だからジュースとお茶で乾杯!
そのあと、あいさつは続き、私もひとことみんなの前で言うことに。
こどもたちが、「きれい!」とか「かわいい!」とか、黄色い声で叫んでくれた。今回は着物を着たから、そのときもみなさんにいっぱいいっぱいほめてもらった。
一生分みんなにほめてもらったなあ!(ものすごーく素直に遠慮なく喜んでいる私でした!だって、ほんとにうれしかったんだもん!)
音楽はやっぱりすてき!
だって、ここには澱んだものはないもの。みんなの音が、声が、この空間を、この時間をとても澄んだものに変えてしまったから。
そしてなによりこの場を築きあげられた山田榮子先生のパワーと魅力に圧倒され、先生を心から尊敬申しあげます。
ありがとうございました。
(写真で筝の左側に立っていらっしゃるのが山田榮子先生)
050828-2.jpg