季節の変わる夜には、何か、たとえば、風が渦を巻くとか、空の雲がある時刻を境目に互い違いに動き出すとか、冬が春に何か秘密のバトンを渡すような瞬間があるかもしれないと思って、落ち着かなくて、窓の外を眺めてみたりします。
もしかしたら、おつきさまが一瞬の隙をついてぐるっと一回転するかもしれない。などと想像してひとりでおかしいなと笑ってみたり・・・。
そういえば、夜が更けていくときと明けていくときの瞬間って?
何かが交差する瞬間、その一瞬に生まれるものを目撃したい好奇心。
お昼に今年初めて梅の花に出会いました。
近づいて、そっと、こぼれた匂いを感じてみればよかった・・・と、ちょっと後悔。
風はなく、静かな夜。ありきたりの夜。
木がわずかにくすくすと笑っているように揺れています。ざわざわとではなく、くすくすと。
春になるとどうしてこんなに心が動いて、飛び出しそうになるのだろう・・
ただただ走って駈けてゆきたいという衝動。
何かが待っている。そんな期待と不安と。