みなさんのまくらもとには何がありますか?
私のまくらもとには本が積み重なっています。活字中毒というと知的なにおいがしますが、私の場合はともかく本が無いと不安になります。本があるというだけで安心してよく眠れます。
ニューヨークに来て、古本を買っては売り、また買い・・・。
本を読んでいるときは、自分が自分であることを忘れて、違う誰かになったり、見知らぬ国にも、時代にも飛んでいけます。読みながら泣いたり笑ったり、気づかされたり。夢中になると分厚い本も一日で読んでしまいます。
そして、読み終わったあとは、夢からさめたようで、まるいちいさな太陽のようなものが心に残ります。
友達をつくることが苦手だった私にとって、本はいつも私の手をとって、知らない世界を見せてくれる友達のような存在でした。だから、不安なときも本があると落ち着いて、勇気が出て、ひとりじゃない気がするのです。
音楽はどんな存在?
本よりも躍動的で、もっと激しくて、もっと直接的なもの。本当に風が吹いてくるような、野原を自転車でかけぬけているような、嵐の雨に打たれているような、そんな「感触」のあるもの。泣きだしたら止まらないような噴き出してくるもの(笑)。
まくらもとには、あとはほんのりとしたやわらかな香りのするものがほしいですね。
一時、本番前の緊張を和らげるために、オーデコロンに凝っていたことがありました。もちろん高カロリーで即効性のあるバナナも効きますが(笑)、香りもには包まれている安心感がありますね。
たわいもないお話。
そんなわけで、どこでも眠れる私にとって、まくらもとに何があろうと関係なくいつ何どきでも眠れはするのですが、まくらもとはちょっと特別な場所なのです。
結局、必須の、ど近眼用のめがねと、読みかけの本を数冊。今はBABY用のほのかな香りがお気に入りのボディークリーム。そして、たまに、手触りが気に入っているピンクの石も。
2年前イグアスの滝の近くの宝石屋さんに日本語のすごく上手な音楽大好きな女性の店員さんがいて、ちょうどその時CDを持っていたので彼女にプレゼントしました。今年、そのお店を通りがかったら、なんと!覚えてくれていて、声をかけてくれました!CDを楽しんで聴いてくれているみたいです。感激!!!その彼女が来店する人たち全員に配っている石。私にはピンクの小さな石が当たりました。何の石かもわからないし、どこにでも転がっているようなかたちの石で、宝石にはならないものなんだろうけれど、手の中で転がしていると、妙に気持ち良くて、いとおしくて、安心するんです。そうして遊んでいるうちに、どんどんつるつるになって、味わいが出てきたように思います。
石をかわいいと思うのは変でしょうか?
大げさにいえば、まくらもとは自分だけの空みたいな、宇宙みたいなものです。
明日から一時日本に帰国します。日本でも移動移動で国内線に何度も乗ります。
ニューヨークに再び戻ったら、いよいよカーネギーホールでのコンサートの練習一色になります。
近所の銀杏はすっかり黄色くなりました。どうしてか日本のように木のかたちが整っていなくて、枝は葉っぱの重さに耐えかねてだらりと垂れ下っています。その疲れたような街路樹の様子を毎朝笑いながら眺めます。「もうたまらんよ~。」と朝っぱらから眉をひそめて言ってるみたいで(笑)。
日本の紅葉、少しは見られるかしら?