もうすぐ、カーネギーホールでのコンサート。お部屋にこもって練習する毎日ですが、休憩も兼ねてアパートメントのまわりをお散歩。
道の両側にある銀杏の木は、すっかり葉っぱが落ちて、歩道には落葉がいっぱい。そして、5時になるともう完全に暗くなって夜になるのだけれど、クリスマスの灯りでとても華やか。
昨日は、ニューヨーク在住のパーカッショニスト、ヴァレリー・ナランジョさんとのリハーサル。2時間半のリハーサルはあっという間に終わってしまいました。雑談もほとんど無く、ひたすら楽譜の読み合わせと呼吸合わせ。・・・というと、なんだかストイックな練習風景を想像されるかもしれませんが、” Oh! My Gosh !! ” と、頭を抱えたり、もごもごと声を出して数えたり歌ったり・・。楽しい!
彼女はアフリカの打楽器を演奏する音楽家(今回の作品はアフリカの打楽器・ジャンべと筝のデュオなので、コロンビア大学の先生が彼女を紹介してくれました)。だからか、その掛け声というか、数える声がすごくかっこいい!
私も、なんか声を出してかっこよく数えて筝を弾いてみたい!と思いました。(笑)
明日は、作曲家の武智由香さんがニューヨークに到着され、一緒にリハーサルする予定。今回のコンサートのために彼女に新作を委嘱しました。
タイトルは「インドラの網」。東日本大震災への祈りをこめて、岩手の作家・宮沢賢治の詩をモチーフに書かれた作品です。かなしみと祈りと、そして慈しみ。最初の音、最初の1フレーズから胸がいっぱいになります。明日からは、南部やすかさんもドイツからニューヨークに戻り、本格的な共同作業の開始です。
コンサートのタイトル「JAPAN RISING」は、私が在籍しているコロンビア大学の中世日本研究所のバーバラ・ルーシュ教授が提案してくださいました。タイトルについて特にお話はしていませんが、たぶん、大震災のかなしみを乗り越え、復興し、さらにすばらしい未来へという希望と祈りをこめてつけてくださったのだと思っています。
こどもの頃からおもちゃがわりに遊んで楽器と接してきた私にとって、大学時代「日本」や「伝統」をいきなり背負わされた気がして、窮屈で、エキゾチズムがついてまわるのが本当に苦痛でした。
でも、今は、伝統のある楽器であることが、日本の楽器であることが、とても誇らしく思えます。そして、エキゾチズムであるかないかなんてどうでもよくて、ますます筝という楽器の魅力にひきこまれています。
この楽器の不思議で魅力的な音を、広くて深い音楽の世界を聴いてほしい!そして、一緒に味わって楽しみたい!そしてそして、もっとわかりあいたい!単純にそんな気持ちです!
NINA DUO in Carnegie Hall
ちなみに、NINA というDuoの名前は、研究所の助手であるパティーさんがつけてくれたのですが、NishiのNI, NambuのNAをつなげたもの。なんて素敵なアイデア!すごくCuteで、とても気に入っています。
未知の世界に向かうことは、不安はつきもの。だけど、やっぱりもっともっと知りたい。それが夢であり、希望なのかな・・と思います!