カーネギーホールでのコンサート、大好評のうちに終えることができました。
応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。
コンサートを終えてここ3日間は、ひたすら寝てばかりで、こんなにも寝られるものなんだ・・と自分でも感心するほどでした。すぐご報告をと思いながら、PCの前に座ってはうとうと船を漕いでしまうようなありさまで・・・。
失礼いたしました。
コンサートの1週間くらい前からデュオの曲のリハーサルも始まり、新作の音楽作りもスタートしました。切羽詰まっていましたから1日8時間くらいのリハーサルはほぼ休憩なしの状態。その間は、緊張というより、興奮していたのでしょう、頭の中が全く休まらず、ベッドに入っても2時間くらいで目が覚めてしまい、睡眠不足が続きました。それでも、アドレナリンが異常に出ているのか、元気で、リハーサルはすごく楽しく、つらいということは全くありませんでした。
ニューヨークでは、お筝屋さんも楽器まわりのことを手伝ってくれる人もいません。たったひとり・・・。
でも、いろんな国でソロコンサートをしてきた経験がいつの間にか私を強くしてくれていたのか、鈍くなったのか(笑)不安というものはありませんでした。ただ、カーネギーホールで演奏することのなんともいえない幸福と興奮でわくわくしていました。
コンサート前日は、早めにリハーサルも個人練習も切り上げて、この日はたっぷり睡眠を摂ることができ、しかも当日の朝食は、カロリーたっぷり(笑)アメリカンブレックファーストを時間をかけてゆっくりいただくことができました。この睡眠と朝食がまるでガソリンのようにこのあと私を走らせてくれました。
朝9:00楽屋口に到着。車から筝や十七絃、立奏台やもろもろの荷物を舞台に搬入。まだ誰もいない舞台にしばし佇んでホールの空気をからだいっぱいに吸い込みました。そして、感謝しました。カーネギーホールに限らず、演奏前のこの静かな時間は私にとってとても大切な時間です。ここで行われてきた演奏会を想像し、響いた音を想像し、そして、今日来てくださるお客様を想像し、そのすべてを受け入れてくれるこの場に感謝し、対話する尊い時間・・・。
そして、おもむろに楽器の準備を始めます。筝は大事に布に包まれていて、紐を解いたり結んだり・・・そんな様子が外国の人にとっては珍しく見えるようで、よく” Your baby ? ” と言われます。返事は、” Yes, my big baby ! ”
9:30 に南部やすかさんが到着。リハーサル開始!
時間は厳しく決められているので、立ち位置を決め、プログラムをひととおり通すだけ。舞台の人に楽器のセッティングの細かい説明をしている余裕などありません。ぎりぎりにリハーサルを終えたら、舞台スタッフはランチに出かけたあと・・。気がついたら13:00前。
わあ!着替えて調弦して・・・どうがんばって準備しても開演ギリギリ!
昨日の夜に買ったドーナツを非常食として入れてきて正解!
まずは、ちょっと落ち着こうと思って鏡の前に座ったら、テーブルの隅っこにかわいいお花が。
ん?ニューヨークにお花を届けてくれる方もいないし、共演者のヴァレリーさんに” Yours?” と尋ねたら、首を振って明るくやさしい笑顔でお花を持ち上げて” for you ! ” と言って私にカードとともに手渡してくれました。
カードを見てみたら、なんと!和歌山と鎌倉の私の教室のお弟子さんたちから!!!
なんというサプライズ!!!
お弟子さんたちの笑顔が目に浮かんで、ひとりぼっちの楽屋が急ににぎやかになったようでした。
ありがとう。みんな!
衣装に着替え。洋服を買う時間も結局なくて昔から着ているもの。
ホールの事情も何もかもわからないことだらけだけれど為す術はなく、だから、かえって開き直れたのかな?
こんな素敵な場所で演奏できる幸運を思いきり味わって、思いきり楽しまなければもったいない!
余計なことはどうでもいい。
緊張は吹き飛んで、気持ちのスイッチが入った!
さあ!舞台へ。
1曲めは、沢井忠夫作曲「上弦の曲」。
つづく