8月16日(日)に行われた私の教室のおさらい会からちょうど2週間が経ちました。その間、関係者の皆さんから体調不良の報告もなく、今日ようやくほっと一息つくことができ、ここでこうして無事終えられたことをご報告することができます。
今年は、新型コロナウィルスの感染対策のため、お客様はほとんど身内に限定させていただき、検温・消毒やマスク着用はもちろんのこと、1曲ごとに換気も行いました。
そして、出演者は、年齢層も幅広く居住地もさまざまな生徒さんたちのあらゆるリスクを想定し、プログラム順を組み、楽屋割を考えました。毎年恒例の打ち上げパーティーだけでなく本番前の顔合わせもなく、集合時間も解散時間もバラバラ。結局全員集合することはありませんでした。
舞台ではマスクを着用しての演奏、客席はといえば、ソーシャルディスタンスをとっていただき座席はまばらに並び、なんとなく寂しげ。
・・というと、窮屈で、重苦しく、暗い演奏会を想像しますよね?
ところが、目に見えない糸がまるで全員をつないでいるかのように、舞台と客席、楽屋・・・その全てに今までにない不思議な『一体感』が生まれたのです。
『目に見えない新型コロナウィルス』から身を守るために生まれた『目に見えない強い結びつき』。
まるで磁力のようにマイナスがプラスを引っ張り出す!そんな不思議な光景を目撃した思いでした。
もちろん、生徒さんたちの演奏は最高に素敵でした!
全24曲7時間に及ぶ私たちの演奏会は、今年で28回目(つまり28周年)。お客さんたちは幕間や曲間で中座してお食事や読書や散歩などに自由に出かけてはまた客席に戻るという、町の小さな音楽祭さながらのんびりと日がな一日楽しんでいただけるものになりつつあります。
今や生徒さんそれぞれにファンもいて、私としては「AKB48」ならぬ「NYS22」(数字は毎年変わりますが・・)をめざしております!笑
出演者もスタッフもお客さまも、みんながみんなの健康を守るために、同じ立場で感染防止のためにすべきことをし、お互いを信頼し思いやりを持つ。感染対策は、命令や義務ではなく、受け身でもなく、取り締まりでもなく、一人一人が自分も含め全員を大切に思うことから始まるのではないでしょうか。
そして、「止める」のではなく「控える」こと。
『控える』という言葉には、「あることに配慮して自分の行動を制限・抑制する」という意味がある一方で、「いつでも活動できるよう準備して待機する」という意味もあります。
この災禍が終息し迎える新しい時代に向けて私たちは今「止める」のではなく「控えて」いる時期。
新たな発見はきっと新たな時代へのヒントです!
マイナスの磁石を手にプラスを探しに行きましょう!
最後に、私の大切な友人Hさんからいただいた感激の文章を付記します。
コロナは、人を人から遠ざけ、先の見えない不安に陥れました。そんな生活をせざるを得なかった私たちだけど、その中での今日の発表会は、本当に素晴らしいものでした。人と人が集まって、音楽に浸る時間。演奏する人と、聞く人が、こんなに一体になった演奏会って、今まであったかしらと思うぐらい。終盤に近づくに従って、会場のみなが一つになった感覚でした。息をするのも、全員同じだったんじゃないかしら。 今日は本当にありがとうございました。
今夜の東京は柔らかな風が吹いて、少し涼しいです。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(藤原敏行朝臣・古今和歌集より)
明日から9月。涼やかな風が皆さんに秋を運んでくれますように。
See you soon!