第1回『poetic』コンサートを終えてから2週間以上が過ぎ、無事終了したことをご報告いたします。
雷鳴轟く悪天候の中ご来場いただきました皆さま、本当にありがとうございました。中央線は一時運転を見合わせていたようで、辿り着けるかどうか心配だった・・と後から伺い、そんなことになっているとは夢にも思わず、ただただ恐縮する気持ちと感謝の気持ちでいっぱいでした。
私にとってのパワースポット・今回の会場となったカフェ『BUTTERFLY effect』はいつも通りさわやかで清々しい空気が流れていて、お客さまのあたたかさに見守られながら、パフォーマンスをさせていただきました。演奏の合間には、自分の思いや考えていることを素直にお話させていただくこともできました。
3月27日は私が指導している和歌山県立桐蔭高校箏曲部のおさらい会でした。昨年は残念ながら新型コロナウィルスの感染状況がひどくなっていく時期でしたので開催できませんでした。34年間途切れることなく続いてきたおさらい会の危機!今年も無理か?と思われましたが、部員たちの熱意、OBOGたちの熱い支援に顧問の先生が立ち上がってくださり、教頭先生をはじめ学校や県の施設を巻き込み、実現する運びとなりました。密状態を避けるため毎年行われる校内の和室を飛び出しホールを借りて行うという顧問の先生のアイデアで、なんと!いつもより盛大で立派な演奏会となったのでした(もちろん非公開でお客様は身内に限定されましたが)。舞台には、お花屋さんの応援の気持ちがいっぱい込められた本当に素敵で豪華なお花!
クラブの練習時間はままならず、レッスンもOGにほぼお任せ状態で、私がレッスンしたのは本番の5日前。まだまだ通るのがやっと?だったり、テンポが遅すぎてすごく長ーい曲になっていたり…それでも高校生パワー恐るべし!レッスンしながらどんどん変化し、本番はものすごく成長していました。
「ちゃんと弾こう。なんて思わずに、本番もその直前の演奏より成長した演奏をしようと思うこと!諦めないで!」
みんな見事な素晴らしい演奏でした。
卒業生も受験を終えて、練習する時間などほとんどなかったというのに、さすがのクールな演奏でした。昨年、直前まで準備していたおさらい会が中止になったことをただ悔やむだけではなく、出演を申し出てくれて、後輩たちに箏の技術だけではない多くのことをその行動で残してくれました。
OGチームは演奏家や指導者として活躍している3人の演奏。もちろん音楽的に繊細で大胆で冴えた演奏でした。
舞台のセッティングも全て部員たちで行うというスタイル。みんなテキパキと動きました。お互いにリスペクトし、信頼し、自分で考えて行動する。そのスタイルはずっと継承されています。困難を乗り越えようという情熱と知恵が、強い結束を生み新しい展開をもたらした感動的な演奏会になりました。
高校生たちの成長のスピードには圧倒されるばかりです。
若い人たちには、「何でもチャレンジすべき!自分の可能性を自分で限定しないで!」といつも言っています。
私も若い頃は、ともかくどんなことでも吸収したいと思って何でもチャレンジしました。無理かもしれないと思ってもとりあえずは飛び込んでみる!それが思いがけないチャンスになって新しい世界を開いてくれることもありましたし、直接的ではなくても自分の表現の幅を広げてくれました。失敗もいっぱいあったけれど、それも全て自分の肥やしになりました。一瞬は落ち込んでも立ち直りが早いのは若さの特権。「失敗しても大丈夫!失敗を恐れて躊躇するのはもったいない!」というのは、経験を積んだ年長者だからこそ贈ることのできるエールですから。
ある年齢まで来ると技術や知識など何かを得て成長していくパワーとスピードは減退していくけれど、人間としての成長は止まることなくむしろ加速する可能性を秘めているように思います。成長が止まった時に熟する?
もちろんいつまでも年齢を全く感じさせない超人的な人もいれば、年齢と共に変わってゆく人もいます。私は後者。そして、できることなら、自分の意志でドライブしながら変化していきたい。
最近は、「選ぶ」ことを大切にしています。
音楽だけでなく、おしゃれも生活も。
何を着てもそれなりに着こなせる時代は過ぎ、今は「選ぶ」ことを大切にしています。新しい冒険は諦めないけれど、何でもというわけではなく、自分を知って選んでいくという作業はなかなか難しい…。
美しく生きていくハードルはどんどん高くなっていくように思えます。
音楽も同じ。
私は、同じ場所にずっと立ち止まっていたくない。成長だってし続けたい。
道は一本じゃないし、方向は一つじゃない。
新しい世界を見続けたいし、新しい自分であり続けたい。
技術という鎧が剥がれて、裸の私がそこにある。
まるで雨に濡れた雛鳥のようにぽつんと危なげに震えている。
こんなにもひ弱だったなんて・・・。
音楽家として、人間としてはまだまだこれから。
その人の一音を聴いただけで、心が揺さぶられるような音楽家に。
ただその人がそこにいるだけで、幸せが漂うような人間に。
いつかなりたい。
See you soon!