桜はもう散ってしまいましたが、足元を見れば街のあちこちに色とりどりの可愛らしいお花が揺れています。
4月4日、延期になっていた東京教室の第1回お弾き初め会を無事開催することができました。場所は日本橋のど真ん中でありながら、別世界のようにとても落ち着いた広い和室。まだまだ安心できない状況であることから、出演者5名お客さま5名のクローズドでの演奏会となりましたが、 出演者の衣装は基本的に着物としたので春らしく華やいだ雰囲気になり、家族的で寛いだいい時間を過ごすことができました。
私の教室では、毎年8月に和歌山で教室生全員が集う「おさらい会」が行われます。東京教室生は和歌山に移動しての参加。お客さまは、固定ファンの方も大勢いて150名くらい毎回ご来場いただいています。
3月か4月に曲が決まり、和歌山教室では個人練習や合奏練習を積んで8月の上旬に全員揃っての公開レッスン、そして、前日リハーサル、本番、というスケジュール。一方、東京教室は参加人数の関係からも合奏曲が少なく、リハーサルで合流となるため、個人個人の熱気は高まるもののちょっぴりさみしい・・。
おさらい会は、皆さんそれぞれにとってかなりハードルの高い曲が課題曲となります。ですから、本番が近づくにつれ熱量はうなぎ上り。1日のレッスンが終わった後もレッスン室は熱気がこもったまま、息苦しいくらいです(笑)。
そして、当日の緊張感は気を失わんばかりですが、皆さんの演奏は堂々としていて素晴らしい!12時開演18時過ぎに終演という約6時間に及ぶ演奏会にもかかわらず、次はどんな演奏だろう?と思うと途中で帰れなくなってしまったというお客さまの声もたくさんいただいています。
昨年末、何もかもめいっぱいの「おさらい会」とは別に、気楽に楽しむことを目的とした会を開こうという企画が持ち上がり、図らずもこの状況下、和歌山と東京でこの新しい企画が実現することとなりました。和歌山ではこれまで習った曲を蔵出しして合奏を楽しもうという「虫干しの会」、東京では東京教室生が集まって交流し、家族やお友達にも聴いてもらおうという「お弾き初め会」を開催することとなりました。
どちらの演奏会も、中心になって支えてくれたのは「西陽子箏曲教室マダムチーム」とも言うべき、50代以上のスーパーマダムの皆さん。
気配りは隅々まで行き届いていて、なおかつ、「やってるぞー」感がなくて、ナチュラルでさりげない。これぞホスピタリティーの真髄!
気楽に参加するためには突然の変更も受け入れることが大前提ですが、何が起きても動じることなく臨機応変に落ち着いて対応される柔軟性と対応力にも脱帽!
以前にも書きましたが、おさらい会の感染対策では、彼女たちが本領を発揮してくれたおかげで中止することもなく開催することができました。子育て、お仕事、介護、ご自身の病気などさまざまなご苦労から得たスキルはやはりスペシャルなものです。
そして、もちろんおしゃれは忘れない。これぞマダムスピリットですね!
寿命が長くなり、世の中の変化のスピードはより速くなり、人生はもはや2回という時代に。私も昭和、平成、令和とすでに三つの時代を生きています。
子供の頃、おばあちゃんが明治生まれと聞いて「え?あの文明開花の時代に生まれたの?」と一瞬おばあちゃんが歴史の教科書に見えてきたことを思い出します。そう思っていた私も、いつの間にか、今の子供達からすれば立派な歴史の教科書に!(笑)
私にとって明治生まれの女性は憧れでもあります。祖母の思い出は少ないですが、意志がはっきりしていて、さらにはっきりものを言う人というイメージ。凛としていて動じない。いつも背筋がピンと伸びていて、ちょっぴり意地っ張りでわがままだけど筋を通す。と言うような、ちょっと「武士道」に近い凛々しさがありました。姿勢や言葉使い、身支度、生活、気の持ち方、さらに、生活に潤いをもたらす趣味を持つこと、学びを忘れないこと、など、人間としての基本を体現してくれていたように思います。
セカンドライフというと、「引退」という印象が強くちょっと悲哀感が漂うけれど、私たちは今2回の人生を生きるということが当たり前になる時代の先端にいるのかもしれません。
我が教室のマダムたちは、若者には到底太刀打ちできない余裕があり、豊潤さがあります。包み込むような優しさ、安心感、「秘すれば花」とも言うべき控えめでさりげない美しさと強さ。若い人たちを応援する温かさ。それはきっと悲喜交々たくさんの経験と年齢を重ねなければ得られないものだと思います。
そして、年齢を超えた好奇心とチャレンジ精神がさらにマダムに輝きをもたらします!
というわけで、そんな彼女たちに支えられ、「音楽で遊ぶ」と言う優雅な時間を持てたことは我が教室にとって新たな展開となったのでした。
さて、今月あたりからそろそろおさらい会モードに突入かな?(気合!)
See you soon!