最近、NHKオンデマンドで2007年10月〜2008年3月に放映された連続テレビ小説「ちりとてちん」を観ることにはまっています。上方落語の落語家を目指す女性の物語なのですが、毎回爆笑したり、号泣したり・・。伝統芸能の継承、師弟関係、舞台は関西、など私自身の生活とかぶる部分も多く、さらに私の師匠・沢井忠夫先生との思い出も重なって、夢中になって観てしまいます。

もちろん落語の演目がたくさん出てくるのですが、手ぬぐいと扇子だけであんなにいろんなことを表現できるなんて本当にすごい!そして、絶妙の間合い。役によって声色が違って、スピードが違って、一人で何役も瞬時に演じ分け、絶妙の間合いで笑いが生まれる!

究極にシンプルで、さまざまな見立てや工夫を加え、空間と時間をデザインし、お客さまの想像力をかき立て、豊かな世界が生まれる。

これぞ日本の素晴らしき芸術!と思わずにはいられません。

 

ドラマには個性豊かな弟子たちが登場し、師匠もまたけして完璧ではなく弱い面を持った一人の人間として描かれています。

欠点や弱さが不思議なことに、その人の魅力となり、個性となっていくのです。

なし得ないもの、こぼれ落ちるもの、欠けているもの、それは本人にとっては目を背けたいものであったり切り捨ててしまいたいものであったりするけれど、そこにこそ自分の本質が眠っていて、愛すべきものなのかもしれない。とドラマを観ていて感じるのです。

 

とはいえ、完璧であることは神の領域で到達できないとわかっていても憧れ追いかけたくなります。

そもそも「完璧」って何?という話ですが・・・。

沢井先生は、私にとっては完璧でまさに神の領域にいらしたけれど、先生は先生にしか見えない神の領域を追いかけていらしたのだろうと思います。

 

先生が私に伝え、残してくださった大切なことは何だろう?と考えます。

音楽に対して、子供のように無心で無邪気で純粋であれ。正直で真摯であれ。そして、音楽は自由で楽しいものだ。ということだと今は思っています。

 

次回は、海外へ演奏に出かけたときのお噺など、一席おつきあいをお願いいたします(笑)。

See you soon!