珍しく続けて投稿^ ^

京都でのコンサートのご案内です。

音絵巻 no.4 〜慈音〜

2021年7月18日(日)16:00開演

会場:常光院(通称八はしでら)

料金:3000円(30名まで 要予約)

出演者:柳川三味線 伊藤志野 舞 西川影戀 箏 西陽子

演奏曲目:みだれ 古道成寺 老松 楽 茶音頭

主催・申込:えん(邦楽普及団体)072-683-6733  en-itou@mue.biglobe.ne.jp

http://enn.moo.jp

延期になっていた京都でのコンサートがついに開催されます!

常光院には八橋検校が眠られているそうで、箏奏者にとっては特別な場所。そして、さらに今回演奏させていただく楽器は名匠治貞によって製作された名器。治貞は江戸時代後期の多くの随筆にもその名が残されているそうで、江戸時代後期にはすでに過去の人であったようです。一度弾かせて頂いたのですが、やはり絹糸との組み合わせ以外には考えられない。と主催者である伊藤和子さんとも意見が一致し、今回は絹糸をかけていただきます。

先日、伊藤志野さんと下合わせをしました。音を聴きながら、少しずつ弾き方を探っていくと、えもいわれぬ妙なる響きがするのです。音がどこから立ち上っているのかわからない・・・空中に突然雲のようにぽっかりと音が立ち現れるような感じがするのです。

一時期、木戸敏郎先生の古代楽器の復元という芸術活動に参画させていただいていました。国立劇場では瑟などの箏に近い楽器を担当していましたが、箜篌(くご・ハープのような絃楽器)は、奈良時代にはハープ奏者がいないのだから雅楽の奏者が弾いていたのではないか。という木戸先生のお考えから声をかけていただきました。その後、神奈川県立音楽堂のプロデューサーの伊藤由貴子さんに声をかけていただき、箜篌で三輪眞弘さんの新作「蝉の法」を初演しました。五線譜はなく楽譜は決まりごとを文字で記したもののみ。演奏者は演算をしながら次の音を選び、音楽は自然に導かれ展開されていくというものでした。全く新しい手法の作曲とこの古楽器の組み合わせは古代と現代が1本の糸で繋がったような素晴らしい作品でした。そして、木戸先生の研究は正倉院からさらに世界へ広がり、エジプトやギリシアのハープも復元され、私はこれらの楽器を大原美術館など多くの場所で演奏させていただきました。演奏法もわからない、楽器は原始的で全く鳴ってくれない、ちょっと極端なことをすると壊れてしまう・・・条件は難しいけれどすごく楽しい作業でした。調律(調絃)がいかに大切か、単純な音楽を豊かにするための工夫、楽器の状態を感覚で知ること、など、この経験から学んだことは計り知れません。

その学びと喜びを、今回の治貞箏との出会いで生かし、再び感じることができています。楽器との対話によって音を紡いでいくことの喜びは音楽以前の根源的な喜びのように感じます。(赤ちゃんってガラガラとか、音が鳴るもの好きですよね?笑)

そして、さらに今回は八橋検校の御前での演奏だと思うと身の引き締まる思いです。

一期一会とは、演奏者とお客様との出会いはもちろん、場、楽器、季節、時、全てのタイミングがまさに二度とないものだということでもあります。

ぜひ、ご一緒にいにしえの音に身を委ねてみませんか。

See you soon!