今日からゴールデンウィーク。季節は初夏に。

今年は少し遠出をされる方も多いのではないでしょうか?

私は、前半は溜まっている用事をこなしつつ、練習・作曲・読書・映画鑑賞に耽る予定です。読みたい本はすでに積み上がっており、観たい映画のリストはノートを埋め尽くしています。練習プランはすでに頭の中にありますが、作曲だけは音やフレーズのかけらが散乱した状態で先が見えません(泣)。

後半はずっと延期になっていた桐蔭高校箏曲部のおさらい会や教室の合同レッスンなど予定ぎっしりです!

 

近況をご報告!

今月からいよいよ8月7日・和歌山城ホールと11月12日・日本橋公会堂にて行われる西陽子箏曲教室第30回記念演奏会に向け、合同レッスンが始まりました。

今年は記念演奏会なので特別企画。その一つとして、いつもの個人曲に加えて初の教室生全員合奏や大合奏があります。年齢もキャリアも全く違う人たちの集まり。まずは、途中で落ちても、ごまかしても、最後まで弾ききることが目標。曲に慣れることが大事!

今月の和歌山での初合同レッスンは、朝10:00に始まり終わったのは19:00頃。途中ランチやおやつ休憩は挟んだものの6時間は弾いたと思います。私は帰宅してお夕食をいただきながら、気がついたらテーブルの上で寝落ちしていました(笑)。きっとみんなもぐったり疲れたことでしょう。東京は来月からスタートします(今月は作戦会議のみ行いました)

まさにマラソンのスタートラインに立ったような気持ち。

さあ!11月まで一緒に頑張って完走しましょう!

 

さて、コンサートのご案内です。『poetic vol.2 』を開催します!

6月19日(日)16:00開演。場所は、昨年と同じ馬喰町のカフェ・BUTTERFLY effectです。

ゲストに地歌箏曲演奏家の轟木美穂さんをお迎えします。

 

前半は、沢井忠夫作曲「讃歌」、西村朗作曲「彩歌」、石川勾当作曲(古典)「新娘道成寺」。

いずれも、最近生徒さんたちのレッスンをしながら、曲に対する自分のアプローチの変化を感じて、今の私の表現をしてみようと思いました。

 

「讃歌」は沢井忠夫先生の名曲。

先生の、艶のあるグリッサンドと、「かけ押し」という奏法による音の緩やかな変化=ポルタメントはそれはそれは美しく魅力的でした。

私は何度弾いても自分の演奏に満足できない…物足りない…。

先生はしなやかに反る親指の持ち主。だから棒のようにまっすぐな私の親指では無理だよね。と言い訳しつつも、もやもや…。

でも、最近新しい私なりのイメージが湧いてきました!

それを表現したいと思います。

 

「彩歌」は西村朗氏の作品。

20代の頃、現代作品の楽譜を必死で集めました。当時、出版されているものは少なく、作曲家に直接お手紙を書いて楽譜を送っていただくこともありました。

この作品も西村朗さんに直接楽譜をいただきました。リサイタルで弾きたくて送っていただいたのですが、その頃の私にはどう弾いていいかわからず結局断念してしまった作品です。

今になってようやく見えてきたものがあって、弾いてみたいなあ。と素直に思いました。

現在この作品の演奏を聴くことはほとんどありませんが、もっといろんな演奏家が弾いていくべき作品だと思います。

 

「新娘道成寺」古典の名曲。

今回はゲストの轟木美穂さんと共演します。

道成寺は故郷・和歌山にあり、安珍清姫の物語は親しみのあるお話。私は美声ではないので歌は苦手で敬遠しがちなのですが、ことばを語って聴かせる作品は好きです。

歌舞伎の華やかな舞台を想像しながら、義太夫の語りのようにお話を進めていければなあと思っています。

 

後半は、オリジナル曲によるプログラム。前半の完成された作品からすると拙さは隠しきれませんが、いつか自分の作品でも聴きごたえのあるものにできたら。と夢みています。

作曲は、今の私にとっての「夢」です!

 

1曲めは、プリペアド箏による「African air」。

2002年に作曲した作品です。絃にクリップをつけると、アフリカの親指ピアノ・カリンバのような音がします。冒頭はスーパーボウルのマレットで演奏されます。クリップもマレットも私自身で実験を重ねた結果選んだもの。日本人が昔から親しみ好んだ三味線のサワリや箏のケシヅメと言われるノイズを含んだ音色は、実はアフリカ音楽とも共通していた!

遊び心たっぷりの作品です。CD「ファンタスマ」所収。

 

続いて、『プラテーロとわたし』(J.R.ヒメーネス作)より「プラテーロ」(新作初演)。

和歌山でむかしばなしの語りをされている上甲ひとみさんがプレゼントして下さった1冊の本『プラテーロとわたし』。

始めの1ページめを読んだ瞬間に私の心を捉えて離しませんでした。一瞬でその世界に連れて行かれたのです。全ての文章の意味が明確にわかっているわけでもないし、想像しているものが正解かどうかはわかりません。

だけど、美しさとかなしみと愛おしさと強さと・・・薄い絹のベールの向こうに透けて見える風景は振り返ると消えそうで柔らかく儚く懐かしい。

この世界を箏の音で表現してみたいと思いました。

 

新作が続きます。組曲『海』より「題未定」(新作初演)。

私にとって海はいつも心にあるもの。

原点であり、永遠であり、恐ろしく、あまりに美しい…。

過去であり、未来であり、謎であり、予感でもある。

ある時『海』をテーマに作品を作り続けたいと思いました。画家が同じモチーフで何枚もの作品を制作するように私も同じテーマに添った作品を作っていきたいと思いました。

「海界をうたう」で初演した作品とも連作になります。

 

最後は「ことのなごり」。

2017年に作曲した箏の二重奏です。轟木さんに本手を弾いていただき、私は替手を演奏します。

箏の本手と替手の合奏は、いわゆる洋楽のデュオとは違う関係性があります。お互いに全くちがうフレーズを付かず離れず弾き続け、時にはピッタリ合わさったり、ずれたり、会話になったりしながら音楽は進んでいきます。

本手はどっしりと骨組みを作り、替手はそれを華やかに飾っていく役割を担います。

そんな箏曲独特の二重奏の関係性、間の変化によって緩やかに速度を上げていく伝統音楽の型に沿って、古典「六段」に習い六つの段落で構成されています。

驟雨が去った後の微かな匂いのように、消えゆくものが残す気配。

すでに跡形はないけれど、心は残り、追いかけ、見送る。

箏の音はなごりの音。だと思うのです。

 

皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております!

コンサートのお申し込みはコチラです→higotoyogoto_project@yahoo.co.jp

なお、今回も安心してゆっくりお楽しみいただけるよう25名の定員とさせていただきます。

 

素敵なゴールデンウィークをお過ごしください。

See you soon!