開幕曲は、八橋検校作曲「六段」です。
箏曲の原点がここにあり、基本の全てが詰まっています。
それよりも何よりも、400年前から脈々と口伝を主体に伝わってきた作品を今私たちがこうして弾けることがすごい!と思いませんか?
何度弾いても新鮮。何度弾いても発見がある。決まった型がありながら、自由度が高い。
本当にすごい作品なのです!
私は、『筝は伝統楽器なのだから古典をやらなければならない。』という考えは好きではありません。
音楽家など親戚縁者に誰もいないごく普通の家庭で育ち、ピアノが大好きで、「ショパンやドビュッシー、ベートーベン最高!「春の海」は古典でしょ?」という程度の知識しかなかった私が、大学に入学してから始まった古典漬けの日々に違和感と重圧とストレスをどれほど感じていたことか・・・。
まるでブラックホールに突き落とされたような大学生活の中で、藤井久仁江先生や上木康江先生、芦垣美穂先生の『目から鱗』レッスンが私に古典の面白さを教えてくださいました。
『古典は面白いし楽しい!だからトライしてみようよ!
江戸時代の音楽を今体験できるなんてすごくない?これっていわゆるタイムトラベルでしょ?』
というのが、私の考え。
もちろん楽しくなるまですごく時間はかかります。
西洋化された社会に生きる現代人からすれば何もかもがまさに謎!
拍子の区切りが謎、規則性無し、旋律も謎・・・ああ、謎だらけ。ちんぷんかんぷん????
でもね、ゆっくりじっくり時間をかけてトライしてみると、癖になるほど楽しいですよ。
『六段』に基礎は全部詰まっているけれど、私は、ある程度弾けるようになってから、または、本人がちょっと弾いてみようかなという気持ちになってから、おすすめしています。積み上げていく順序を決めないで、長く楽しく続けていけることが最優先!
まずは謎を解いて、面白さを発見していく!
古典の演奏家は長い曲を暗譜して、何度も舞台で弾いて、演奏に深みや味わいを加えていきます。私は『修行』より『楽しみ』優先、『楽しさ』を伝えたいと思っています。
ジャンルが何であれとことん好きになれば、修行は苦行じゃなくなるし、夢中になって難しいことに自然と挑戦したくなります。
ともかくも、せっかく箏に出逢ったなら、『六段』を弾かないのはもったいない!
そういうわけで(どういうわけ?笑)、『六段』の演奏者は出演者全員(二人はやむを得ない事情で欠席)。キャリアもバラバラ、途中振り落とされそうになる人もいるけれど、今回は和歌山教室・東京教室でそれぞれ合同レッスンを重ね、みんななんとか弾けるようになりました。一人の練習もいいけれど、みんなで練習するとなんとなくできてしまうこと、ありますよね?
はじめは「なんとなく」でもいい。Let’s try !
これが私の教室のモットーです。
本番は今までで一番いい演奏になりました。(みんな、頑張りました!(^^)v)
全員による演奏『六段』にて華やかに開幕!
さて、どんな演奏会になりますやら。
つづく
See you soon!